山口謠司

出版物

文豪の悪態

「青鯖が空に浮かんだような顔」「オタンチン、パレオロガス」「実に大なる田舎者である」「創造力というものが無いんだね」「そんなキタナイ小説は嫌いだ」――。
夏目漱石、太宰治、石川啄木、菊池寛、正岡子規、永井荷風、中原中也、谷崎潤一郎、直木三十五など、明治・大正・昭和に活躍した文豪が放った「皮肉」「怒り」「嘆き」の語彙とは。

時に本能むき出しに、時にひねりを利かせて、相手を黙らせる“決め台詞”の極意。
文豪たちの人間くささが垣間見えると同時に、悪態をつくときに放たれる言葉に不思議と奥深さも感じられる一冊。
不機嫌な時も、大作家先生の言葉は面白い! !

目次
【第一章】 「馬鹿」「田舎者」
「オタンチン、パレオロガス」 夏目漱石は、奥さんを
「馬鹿! 」 夏目漱石が小栗風葉に
「勉強しなよ」 尾崎紅葉が泉鏡花に
「平凡浅薄」 中江兆民『一年有半』に正岡子規が
「紅葉はもう想が枯れた」 宮崎八百吉が尾崎紅葉に
ほか

【第二章】 文豪の嘆きとぼやき
「創造力というものが無いんだね」 徳田秋声が武林無想庵に
「菊池は性質野卑奸獝」 永井荷風が菊池寛に
「漱石さんの物には贋物が多いのでしてね」 ある骨董商が内田百閒に
「親切なんか微塵もなかった」 小島政二郎が鈴木三重吉に
「嗚呼盛なるかな倉田百三」 南孝夫が倉田百三に
ほか

【第三章】 喧嘩もほどほどに
「芥川がえらく、しょげかえっていた」 佐藤春夫の批評に芥川龍之介が
「青鯖が空に浮んだような顔をしやがって」 中原中也から太宰治
「蛞蝓みたいにてらてらした奴で、とてもつきあえた代物ではない」 太宰治から中原中也
「希望を抱いてといったようなものではない」「尻尾を巻いて逃げる」 久米正雄のスピーチ
「モデル問題から憤激し 菊池寛氏の暴行」 昭和五年八月十八日付「東京朝日新聞」
ほか

【第四章】 その「皮肉」も効いていますね
「この人一人は、日本の男が、巨大な乳房と巨大な尻を持った白人の女に敗れた、という喜ばしい官能的構図を以て」 三島由紀夫が谷崎潤一郎に
「まるで子供同志が話しているようであった」 菊池寛が横光利一に
「これは相当の面魂だと自分は思った」 広津和郎が直木三十五に
「日本人の恥さらし」 本多顕彰が田中英光の訃報に

単行本: 272ページ
出版社: 朝日新聞出版 (2020/5/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4023318744
ISBN-13: 978-4023318748
発売日: 2020/5/20

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