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ボブ・ウッドワードFEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実

  • 古刊

大平信行

『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』

発売日: 2018/11/30
出版社: 日本経済新聞出版社
言語: 日本語
ASIN: B07K6FSXGG

「真の力は──この言葉は使いたくないが──恐怖だ」

以上は本著24ページより。
奇しくも本著の発売日、私はテレビにて元アメリカ大統領ジョージ・H・W・ブッシュ氏の死を伝えるニュースを耳にした。思えばブッシュ氏も、大統領選挙の際、自身の所属していた共和党の代表を差し置いて、民主党のヒラリー・クリントン氏を支持していた。彼がヒラリー氏の夫に再選をかけた選挙で敗れたことも踏まえるなら、考えにくいことである。
そう、相手がドナルド・トランプという男でなければ……

ニクソン大統領以来、アメリカ政治史に多大な影響を与え続けるワシントンポスト紙が伝える、ホワイトハウスの闇。政権の有力者を登場人物として列挙し、数々の名言失言で彩られた本作は、一種物語的な雰囲気を感じさせるものがあるが、トランプ氏自身の取材拒否と、そしてディープ・バックグラウンドなる証言者の匿名性に、不穏なリアリズムが顔を覗かせる。
多数の人名が登場し、企業や国家、条約など、事前情報なしではイマイチ状況が飲み込めない箇所はあるものの、ゆっくり読み説いていけば、事の重大さに気が付くだろう。

トランプ大統領は何を恐怖させ、また何に恐怖するのか。2500円と高価ではあるが、読み物として中々面白いことは間違いない。