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海野弘著  『(ヨーロッパ1920年代)四都市物語』

  • 古刊

山口謠司

海野弘著
 『(ヨーロッパ1920年代)四都市物語』
 昭和54(1979)年 冬樹社

1920年代というのは、日本で言えば、大正9年が1920年で、昭和4年が1929年に当たる。
東京は、江戸の名残がまだいっぱいで、その上に明治時代が乗っかっていた雰囲気だったのが、1912年の関東大震災で壊され、東京は「近代都市」となって生まれ変わる。

1920年代のヨーロッパの都市ではどんなことが起こっていたのだろうか。海野弘氏が本書で記しているのは、パリ、ロンドン、ベルリン、モスクワである。
1917年のロシア革命から逃れて来たロシアの貴族達が、パリでいかがわしい商売を始める。
それが、アガサ・クリスティーの推理小説にロシア人の犯罪者がたくさん出てくることの背景になっている。
またベルリンは、当時、ヨーロッパの歓楽街と呼ばれ、パリの「女」に対して、ベルリンでは「ホモ」が名物になっていたとか。
でも、この当時、ヨーロッパを通じて一番問題になっていたのは、自殺問題である。なぜかよく分からが、オーストリアから波のようになって、自殺率がロンドンまで年を追う毎に多くなっていく。
1920年代のことに関して言えば、海野氏の著作『万国博覧会の二十世紀』(2013年、平凡社新書)も、第二次世界大戦に向かうグローバル化の波を読み取ることのできる興味深い本である。