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土谷英夫著『1971年──市場化とネット化の紀元──』

  • 古刊

山口謠司

『1971年 ──市場化とネット化の紀元──』
土谷英夫 著

2014年1月
NTT出版

1971年、昭和46年、みなさんは何歳でしたか?
何をしていましたか?
ぼくは、8歳、小学校2年生。

さて、本書の著者、土谷氏は、この年日本経済新聞に入社したという。
1971年に世界は、3つの出来事によって大きくシフトしたと著者は言う。
まず、アメリカの8月15日(日本では8月16日)に行われたニクソンショック。
それまで日本円は360円というように各国通貨が決まったレートでペッグ(釘付け)されていた。いわゆる固定為替相場だったのが、変動相場制になってしまう。
つぎに中国の国際社会へのデビュー。
台湾(中華民国)の国際連合脱退に伴い、中国(中華人民共和国)が国連に迎えられ、安全保障理事会の常任理事国になる。
3つ目は、シリコンバレーのインテルが、日本の電卓用に開発が進められていた半導体、マイクロプロセッサ4004を売り出したこと。そしてこの年、IT技術者のレイモンド・トムリンソンは、「@」を名称と住所(所属ネット)の分け目に使うことを思い付く。
つまりネット化の始まりである。

本書はこの3つの出来事によって、現代のネット社会、金融のカジノ化、中国人及び中国の国際社会における進出が何をもたらすかということを問うのだが、おもしろいのは、当時、日本の首相であった佐藤栄作が日記魔であったということを利用していることである。
佐藤栄作の日記を読むと、日本で何が起こっていたのかが一目瞭然なのである。
1971年に起こった3つの出来事を日本と世界の同時進行の時系列の中で見ていく本書は、「現代」を読み解くためにも価値がある。