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値段と価値―なぜ私たちは価値のないものに、高い値段を付けるのか?

  • 古刊

大平信行

値段と価値―なぜ私たちは価値のないものに、高い値段を付けるのか?
ラジ・パテル著
福井昌子訳

単行本: 253ページ
出版社: 作品社 (2019/2/1)
ISBN-10: 4861826365
ISBN-13: 978-4861826368
発売日: 2019/2/1

『苦役列車』で馬鹿話をしたから、こっちでは少し真面目な話をしよう。

ファミリーレストランなんかでメニューにある「ドリンクバー」。相場を200円前後とかそのぐらいだと仮定するが、店のグラスのサイズはどのくらいか?
自動販売機で売られてる炭酸飲料が350ミリのアルミ缶に入って100円とか。ペットボトルなら500ミリで150円ぐらいするだろう。
スーパーならもっと安い。
……こう考えると、ドリンクバーで元を取るのも大変そうだ。
だが、ここでオチをつけておこう。
炭酸飲料の原価は一杯でも1円に満たないと。
昔、ロサンゼルスに行ったときにも驚いたことだ。
同じ量の水よりもコーラの方が安くてな。
今思えば、それが炭酸飲料というものの価値を端的に示していた。

我々は物の価値を本当に知ってるのだろうか?
目先の節約などを気にする前に、今手に取った物の本当の「値打ち」を考えていないのではないか?
そんな訳で本著『値段と価値―なぜ私たちは価値のないものに、高い値段を付けるのか?』の話は始まる。
作者は、かつて『肥満と飢餓』の題で、10億人の肥満と10億人の飢餓の背景を説明したラジ・パテル氏。農業および食に注目した前作と志向を変えて、今回は経済分野の矛盾を鋭く批判していく。

余談だが、発売から一ヶ月以上が経過したというに、どのサイトでも諸兄諸姉のレビューが見当たらない。
定価2600円の高さゆえか?だとしたら残念なことだ。
お金の価値を問う本著が、その本当の値打ちを理解されていないのであるから。筆者はここで2600円以上の価値が本著にはあると胸を張って主張したい。

パテル氏が本著一冊を書き上げる為、どれだけの時間と知恵が必要だったろうか?
同じ結果に至る為に我々にどれだけのコストが必要かを考えれば、けして損ではない一冊。
フランスの哲学者ルネ・デカルトの言葉にもある。
「良き書物を読むことは、過去の最も優れた人達と会話をかわすようなものである」と。
是非貴方にも「会話」してもらいたい。