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さくらももこ『ひとりずもう』

  • 古刊

洲脇武志

言わずと知れた国民的漫画『ちびまる子ちゃん』の作者である、さくらももこさんのエッセイ集。
さくらさんのエッセイ集と言えば、『もものかんづめ』・『さるのこしかけ』・『たいのおかしら』・『そういうふうにできている』などが特に有名だが、今回取り上げる『ひとりずもう』はこれらに比べるとあまり知名度がないようである。

さて、『ひとりずもう』のテーマは青春である。
高校生時代を中心に小学校五年生から短大在籍中にデビューするまでの期間を書いた自伝的エッセイとなっている。
様々なエピソードを通じて書かれている、青春にありがちな空想や妄想、不安や希望は、誰もが抱える青春時代のちょっと恥ずかしくも懐かしい思い出を蘇らせてくれる。

本書に収録されているエピソードで特に秀逸なのは、漫画家デビューまでのいきさつが語られている「挑戦」・「方向転換」・「新しいスタート」の三つ。
『りぼん』投稿時代から漫画家デビューまでのいきさつは、これまでも漫画(「ももこのほのぼの劇場」など)で描かれているが、ここではなぜ『ちびまる子ちゃん』のような作風が誕生したかも書かれていて興味深いし、「夢」(「夢を叶える」の方)について触れている「あとがき」も併せて読むと、一層味わい深くなる。

なお、本書は作者自身によって漫画化されている。基本的には本書の内容を漫画化したものだが、エピソードを増補したりしているので、こちらも是非お読みいただきたい。