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『1週間であなたは伝説になる 挨拶のバカ力!』

  • 古刊

櫻庭凌也

『1週間であなたは伝説になる 挨拶のバカ力!』
著者 金原亭世之介
出版社 三五館
発売日 2016/9/22
言語 日本語
ISBN-10 4883206793
ISBN-13 978-4883206797

挨拶や言葉遣いは現代社会では礼儀として不可欠なものだが、人に与える効果をだろうか。

高校時代、私は風紀委員に所属していたから、そうしたものが相手の印象を左右することを学んだ。古代中国では礼が重要視されていたと言われる。昔から言葉や動作などの決まりごとが大切にされていたことのだろう。今回は、そんな言葉や動作が人に与える影響を解明する本書について触れていきたい。

著者の名前が金原亭世之介ということで、気づいた人もいるかもしれない。落語家である。ただ、著者は研究者の一面も持っている。研究分野はコミュニケーション学を中心に、脳科学、生物学、生理学などに及ぶ。言葉のジェネラリストと言ったところだろう。

本書の内容だが、前半は言葉や挨拶が持つ効果、後半は見た目や所作が持つ効果が中心である。

印象的だったのは被験者に前屈をさせる実験だ。通常通りに前屈をさせ、その後に元気に挨拶した後に前屈をさせるというもの。後者の方が被験者の体が柔軟になったらしい。前屈の実験だが、夢や幸福などプラスの意味を持つ言葉を言った後、普通に前屈を行うより体が柔軟になった例もあるらしい。挨拶やプラスの言葉には、人の能力を向上させる効果があることの何よりの証拠なのだ。古来から日本人は言霊を信じていたと言われる。それは科学的な視点から見ても的外れではないようだ。

見た目についての話は、メラビアンの法則などよく言われることが中心である。著者らしい話だと思ったのは、高座が高座である理由についての話である。人は上を向くと幸せな気持ちになる効果を利用しているからだそうだ。人の目を引く方法として理にかなっているのだ。落語が人々の間で愛好されるのは、この効果があることも一因だと思った。

所作についての話では拍手の効果の話が出てくる。拍手をするだけでその場の雰囲気が楽しいものとなるらしい。だから人の気持ちを高め、能力を上げる効果をもっているそうだ。

本書の魅力は興味深い実験である。著者の主張は一般的に言われることに近い。ただ、その根拠がわかるため、生活の中で実践しようという気持ちが湧いてくると思う。

日本人は「笑う門には福来る」と言う。本書を読み、自分や周りを笑顔にして幸せを運ぶ方法を学んでみてはいかがだろうか。