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『論語と算盤(上) (自己修養篇(いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ13))』

  • 古刊

櫻庭凌也

『論語と算盤(上) (自己修養篇(いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ13))』
渋沢栄一著、奥野宣之訳
出版社 致知出版社
発売日 2016/7/29
言語 日本語
ISBN-10 4800911184
ISBN-13 978-4800911186

新一万円札のデザインが渋沢栄一となり、話題になった。このことは大学で中国古典を専攻している身として注目していた。渋沢栄一は『論語』に発想を得ていたから。

『論語』とは、今から2000年以上前に、孔子と言う人物とその弟子の言行を記録した書物。「子曰(いわ)く~」のフレーズで有名だ。

私事だか就職活動で、学業について話す場面で、『論語』は話の切り口に活用させてもらった。ただ、この書物を全く知らない社会人は意外にも多いと感じた。改めていかに『論語』をビジネスに役立てるか考えさせられた。だから『論語と算盤』を読んでみた。

今回はそんな『論語』とビジネスを掛け合わせた渋沢栄一の『論語と算盤』を紹介したい。まずはその内容について触れていこう。

「仁義・道徳と産業・利殖は矛盾するものではありません。」(本書260ページより引用)

道徳と経済は両立できる、するべきという考えだ。『論語と算盤』の要点はこの言葉に集約されると思う。二宮尊徳の言った「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である。」という考えに近い。

既に他の訳本も出ているから大まかな中身は大差ないと思う。ただタイトルについてるように、本書は自己修養的な内容も多い。要は普段の努力が大切ということ。まぁ普通のことが簡単に見えて難しいかもしれないが。

本書は、訳者が言うには、中学生にもわかるような言葉で訳しているそうだ。言葉遣いに関しては堅苦しい印象は受けなかった。むしろ、訳者が渋沢になりきって語り掛ける随想ような印象を受けた。他の訳本レビューでは、堅い内容だとか、難しい言葉が多いといった評価があるが、本書にはそういった点は見られないと思った。

随想を読む感覚で『論語と算盤』を読むのも面白いのではないか。随想とは想(おも)いに随(したが)ったもの。新紙幣の顔の一人となる渋沢の想いを感じ取るのもいかがだろうか。