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『茨の木』

  • 古刊

大平信行

さだ まさし 『茨の木』
幻冬舎
発売日 2011/4/12
言語 日本語
ISBN-10 4344416511
ISBN-13 978-4344416512

さだまさしと言えば?
字余り気味にセンチメンタルな感情を表現してきたシンガーソングライターにして、
ライヴやバラエティ番組などで喋り倒し、本職の芸人・ダウンタウン松本人志をして尊敬すると言わしめた、面白おじさん。
だが、あえて言いたい。
さだまさしは作家であると。
現に、
『アントキノイノチ』、『風に向かって立つ』、
『ちゃんぽん食べたかっ!』など、
映像化もされた人気小説をいくつも世に出している。

本著はそんな作者の4作目の小説。
父の形見のバイオリンを手に、作者を見つけんと遠くスコットランドまでやってきた主人公。兄との対立、初恋の思い出と「再会」……
言葉の美しさ、情景描写の巧みさ、そして随所に散りばめられた人の優しさ。
映像化された作品や、曲の名を冠した各種作品に比べれば、知名度では一歩劣るかもしれない。
しかし、
認知症やドメスティック・バイオレンスなど、暗部にも目を背けず、それでもその厳しい世の中にも救いはあるんだと、
語りかけてくる細やかな人生讃歌の一作。