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『地球星人』

  • 古刊

神亜莉沙

『地球星人』
著者:村田沙耶香
発行:2018年8月30日
発行所:新潮社

村上沙耶香さんの書籍を読んでいると、面白いことに私自身に似ている人物が必ず出てくる。

本書の主人公、奈月は自らが生きている世界に上手く馴染めず、無理やり他の人に合わせようとするが結局合わせられない。
私は社会人になり2年目になるが、「みんなと合わせて何かを行う」ということが大の苦手だ。というよりも、「合わせようとして来なかった」が正しいかもしれない。そのせいか、人と衝突することも多々ある。
そんな所が奈月と私はそっくりだ。

「ここ(筆者注:奈月の住む街)は巣の羅列であり、人間を作る工場でもある。私はこの街で、二種類の意味で道具だ。一つは、お勉強を頑張って、働く道具になること。一つは、女の子を頑張って、この街のための生殖器になること。私は多分、どちらの意味でも落ちこぼれなのだと思う。」本書P.41より引用

確かに私たちは「道具」なのかもしれない。それが上手く世の中に作用すれば認められるし、逆であれば世間の目は痛い。終いには取り返しのつかないほどに傷み付けられ、使い物にならず廃棄処分されてしまう。世間とは明るくキラキラした面もある一方、残酷で暗い面もどこかでひっそりと蠢いてるのだ。

奈月も含め、同著者の作品『コンビニ人間』の主人公、恵子も普通の人間からしたら「おかしい」で片付けられてしまうかもしれない。しかし、私からすれば「おかしくて何が悪い!」と思ってしまう。屁理屈だと思われるかもしれないが、もがき苦しみながらどう生きていったら良いかを必死に模索する主人公らに私は少なからず共感さえ覚えた。同時に、「もっとこの世の中が単純で生きやすい世界になれば楽だろうにな…」と勝手なことを考えてしまった今日この頃である。

おすすめの読み方は、『コンビニ人間』を読了した後に本書を読む!主人公2人の共通点が読んでいると見えてくるかもしれません。