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『前田利家・利長: 創られた「加賀百万石」伝説 (中世から近世へ)』

  • 古刊

大平信行

『前田利家・利長: 創られた「加賀百万石」伝説 (中世から近世へ)』
大西泰正著
単行本: 319ページ
出版社: 平凡社 (2019/4/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4582477453
ISBN-13: 978-4582477450
発売日: 2019/4/12

日本史上で「犬」と呼ばれた人と言えば?
……えっ?徳川綱吉って言った?
あー、そうだねぇ、
確かに綱吉も「犬」公方て言われたもんねぇ。
ちなみにお母さんは玉の輿の由来になったと言われる……
うん、関係ないね。
というか、タイトル見ようか。

『真田丸』に『おんな城主直虎』、
そして来年には『麒麟がくる』と、
大河ドラマでもよく取り上げられ、
かつ織田信長は冷酷な人物でも、革新的でもなかった!?
など、近年再評価がされてきた戦国期の日本。
本著もそんな潮流にあって発表された、
豊臣政権下で前田利家・利長親子の有り様について再検証した一作。
その名もズバリ、
『前田利家・利長: 創られた「加賀百万石」伝説』である。
ネットでは中々話題になっているようで、
かくいう私もツイッターで知った。

さて、本著の主人公は前田利家と、その息子・利長。
幼名を犬千代と言った利家は、
よくドラマなんかじゃ、
秀吉の「猿」呼びに大して「犬」なんて呼ばれるが、
あんまりメジャーって訳じゃない。
利家でさえ、名前は聞いたことがあるが、
実は意外によく知られていない気がする。
利家でさえ分からないのだから、まして利長など……

思えば、知らなくて正解かもしれない。
本著の調査で分かったのは、
それまで言われてきた話が結構怪しいということ。
例えば「加賀征伐」。
徳川家康が難癖つけて前田利長を攻めようとし、
前田家中は主戦か恭順かで揉めた末、
利長の母・まつの説得もあり、
最後はまつを人質に出し、家康に屈したという事件。
同じ理屈で責められた上杉家は屈しなかった為、
家康は上杉攻めを行い、
その背後を狙う形で京にて石田三成が挙兵、
関ヶ原へと向かっていく訳であり、
考えようによっちゃ、前田家もヤバかったかも、
というのが今までの定説。
これが丸っきり嘘かもしれないってんだから面白い。

さて、結びになるが、
防犯上、犬ってのはあんまり役に立たないそうだ。
何でも人懐っこい分、
見てくれは強そうでも、泥棒に手懐けられたりして、
肝心なときには効果が薄いとか何とか。
それなら猫が何匹かいた方がまだマシだとか。
さあ、やがては豊臣家から天下を盗む泥棒・家康に、
番犬・利家、利長がどう応じたか、屈したか。
是非、本著で確認していただきたい。