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『パクリの技法』

  • 古刊

櫻庭凌也

『パクリの技法』
著者 藤本貴之

出版社 オーム社
発売日 2019/2/9
ISBN-10 4274223388
ISBN-13 978-4274223389

『三国志演義』について友人について話したことがある。その友人は、主人公劉備の性格が実際とは違うことを挙げていた。私は事実と物語に相違があるのは当然という程度にしか思っていなかった。ある方法によってそうなっているとは知る由もなかった。

さて、なんと本書のテーマは他にはないパクりること!パクりという言葉を見て第一印象としてオリンピックのエンブレム騒動のような問題を扱うのかと思った。しかしこのようなことが中心ではなかった。

パクりの定義やその歴史まで徹底的にまとまっている。著作権問題からアニメ、漫画、文学まで話の幅は広い。パロディやデフォルメというなんとなく使っている用語の解説まだある。

パクりは悪いイメージをもたれやすい。インターネットの普及や著作権が主張されるようになったことが原因のようにみえてならない。

著者の考えによると、特徴はパクりは新たなものを生み出す場合には必要だそうだ。私達が使うパクリという言葉には二面性があるらしい。1つは剽窃や不正なコピーという意味。これは言うまでもないだろう。もう1つはクリエイティブな分野で既存のものを参考にするという意味。著者が推奨するのは後者の意味でのパクりである。神話やアニメや漫画や小説などには元ネタと言えるものが必ずあるということだ。

インターネットが流行する前の世の中は、今と比べて良い意味でのパクりには寛容だったのではないかと思う。『ビックリハウス』が出版されていた時期は、わざわざパクりを指摘するようなことはなかったと思う。

本書はまさに温故知新な発想の大切さがわかる1冊である。パクりに対する偏見もっているなら、考えを変える「元ネタ」として役立ててほしいと思う。