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『キラキラ共和国』

  • 古刊

神亜莉沙

『キラキラ共和国』
著者 小川糸
発行所 幻冬舎
発行年 2017年10月25日

本書は、小川糸著『ツバキ文具店』の続編。文房具屋兼、代書屋を営む「ツバキ文具店」を祖母から受け継いだ、雨宮鳩子のその後が書かれており、前編で登場するミツローさんと入籍する場面から物語は始まる。ちなみにだが、ミツローさんは前妻を事故で亡くし、QPちゃんという小学生の娘さんがいる。そのような複雑な状況でありながらも、家族として温かく暮らしていく三人は私にとって理想の家族。

例えば、鳩子さんは家族で食事をしている時のことを、「好きな人と美味しいご馳走を囲むことほど、幸せで贅沢な時間はこの世に存在しない。」と語る。
この文章を読んでとっさに思い浮かんだのは、レストランでみかける家族連れの姿。楽しげに笑みを浮かべる姿を見ているだけで、メニュー表にはない心和らぐ物をたらふく食べたような不思議な気分になる。まさに、目で見たものを胃が吸収している感覚がするのだ。

また、本書で重要な役割を果たすのがツバキ文具店の隣に住むバーバラ夫人。
彼女の言葉は鳩子さんを励まし、読者にも優しく語りかける。
その一つに、

「よく、フランス人が、ザヴァ?って、相手に聞くでしょ。元気?ってことなんだけど、たいていは、ウィー、って答えるの。でも、本当に元気じゃない時はね、ノン、って正直に言っちゃっていいんですって。そりゃ、そうよね。ずーっと元気な人なんていないんだもの。」

という文章がある。
私は体調が良好でない時でも、「元気?」と聞かれたら「ウィー(はい)」と口先だけで答える性格。どこかで「ノン(いいえ)」と言ってはいけないと思う自分がいるから。
日本人は相手の気持ちを深く考えるがゆえに、作り上げた言葉を発する性質がある。しかし、時には包み隠さず想いを素直に伝えることも大切だということを、バーバラ夫人は誰もが納得する喩えで教えてくれるのだ。日々の生活の中で彼女の教えを思い出すと他人を妬み蔑む心が消え、穏やかな気持ちになる。

今回、本書に添付されている代書については触れず、登場人物に重きを置いて書評を書いてみた。

もう一度、「家族」の在り方について考え直してみたい方にオススメな一冊です!
家族を愛するヒントのようなものを得られるかもしれませんよ。