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『オーロラの日本史: 古典籍・古文書にみる記録 (ブックレット“書物をひらく”)』

  • 古刊

櫻庭凌也

『オーロラの日本史: 古典籍・古文書にみる記録 (ブックレット“書物をひらく”)』
岩橋清美、片岡 龍峰 著
出版社 平凡社
ISBN-10 4582364586
ISBN-13 978-4582364583
発売日 2019/3/15

毎日30°を越える猛暑の真っ只中だが、それとは裏腹にクーラーの効いた図書館で見つけた本を紹介したい。

まず二人の著者について触れていこう。岩橋清美氏は、古文書の読解など歴史学に通じているそうで、本書では文系の立場である。片岡龍峰氏は、著書に『宇宙災害:太陽と共に生きるということ』や『オーロラみつけた』などがあるそうで、本書では理系の立場である。

古典の記録を頼りに、飛鳥時代から江戸時代にかけて日本で観測されたオーロラについて迫る内容だ。二人の著書の視点により当時の状況を検証していく。この点は、気候変動と歴史上の出来事の関係を明らかにする『異常気象が変えた人類の歴史』にも通じる部分があるだろう。

オーロラと言えば、北欧で見られる緑色のものを思い浮かべる人が多いだろう。テレビで見ると、神秘的な印象を受ける。綺麗の見た目だが、磁気嵐と呼ばれる現象が発生する際に見られる現象である。

そんなオーロラだが、日本では赤色のものが目撃されていたそうだ。緯度が低い場所で発生する珍しいものだそうだ。仮に私がこんなものを見たら、何か良くないことの前触れにしか見えない。

百人一首の撰者として知られる藤原定家や、『古事記』の研究で有名な本居宣長も、赤いそれを目撃していたのだ。藤原定家は彼の日記である『明月記』に、本居宣長は日記に記録を残していたらしい。また、庶民の記録にも似た記述が記されているらしい。

本書は文献に残された記録に基づいているため説得力はあるだろう。また、文理横断的だが興味深い内容であるため、どちらの人でも手を出しやすいと思う。ひとつ不満をあげるなら、肝心なオーロラの写真が白黒である点である。興味深い内容の割に、表紙ぐらいしかカラーの部分がないのが玉に瑕である。

最近の都市伝説だと、まことしやかに氷河期が来ることが囁かれている。異常気象が世界中で起こっているから真実ように思えてしまう。本書を読み、いつの時代も人が珍しい自然現象に関心を持つのは必然のことと思えてならない。