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『<生ける屍>の表象文化史 ―死霊・骸骨・ゾンビ―』

  • 古刊

櫻庭凌也

『<生ける屍>の表象文化史 ―死霊・骸骨・ゾンビ―』
著者 伊藤慎吾、中村正明
出版社 青土社
発売日 2019/4/11
言語 日本語
ISBN-10 4791771427
ISBN-13 978-4791771424

先月から映画『貞子』が公開されたが、こうしたホラー作品がより面白くなる本を紹介したい。

本書のテーマはタイトルよろしく「死霊・骸骨・ゾンビ」について。娯楽の中でどのように描かれていたのか。洋の東西を問わず、古代から現代まで幅広い例を参照していく。

他の本でもありそうな内容もあったが、実体のある霊がゾンビと似ているという主張が印象に残った。気体のような足のない霊よりも、実体のある霊の方が人により恐怖を与えるらしい。中国の小説に影響をうけた怪談『牡丹燈籠』なんかは良い例だそう。

また、『リング』の貞子や『呪怨』の伽椰子も実体のある霊と言えるらしい。また、実体のある霊はゾンビと似た存在で、貞子や伽椰子も広く捉えればゾンビとして見ることもできるそう。4DXのホラーにもゾンビ的な霊による恐怖が表現されていると思った。これは極限まで現実を演出するものだから、実体を持つ霊を出すのにうってつけだと思った。

もうひとつ印象に残ったのはゾンビや霊が、ギャグ作品や萌えという形で表現されていること。私はこうした存在が持つ恐ろしい部分を削り、マスコットの的なキャラクターに変化させていると思った。『リング』の貞子がかわいく表現されていることもその例だと思った。

本書を読み、恐怖の表現方法が過去のものを踏襲していると考えた。今後VRが発展するとよりリアルな恐怖が再現できると思う。まさに<生ける屍>があなた後ろに・・・なんてことがあるかもしれない。