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『なにがあっても、ありがとう』

  • 古刊

神亜莉沙

『なにがあっても、ありがとう』
著者 鮫島純子
発行所 あさ出版
発行年 2018年5月28日

本書の著者である、鮫島純子。実は2024年度より新1万円札の肖像画となる渋沢栄一の孫なのだ。1万円札になる渋沢の孫は一体どのような考えを持って90年余りを生きてきたのだろうか…読む前から気持ちが高揚したのは言うまでもない。

さて、本書は何があっても感謝する気持ちを忘れないという内容。
例えば、子供が自分の言うことを素直に聞き入れてくれない時。

そういう時には、一呼吸おいて、「深いご縁があって、お互いの成長のために私を選んで生まれてきてくれたのね。ありがとう」と、感謝の気持ちを引き出しましょう。
(本書P.30より)

とアドバイスを添えている。

本書の中で特に興味深かったのは、「人と比べない」という項目。
人をうらやむ気持ちは、

「人と比較したり、自分を卑下することと同じくらい、好ましくない感情といわれています。」
(本書P.93より)

と書かれている。
そして鮫島氏は、

他人の幸せを眺めてうらやむより、「自らの学習のために、自分がこの境遇を選んだ」と自覚し直し、自分が今どう生きるかを大切に考えたいものです。
(本書P.94より)

と述べている。

自分でも自覚しているのだが、私は他人を羨ましく思うことが毎日のようにある。そして結局のところ、どんなに羨ましく思ってもその人に近づけず自暴自棄に陥るのが悩みどころ。相手に対して素っ気ない態度をとってしまい関係が良好ではなくなったこともしばしば。そういう時、体内でじっくり温めてきた幸せ貯金を全て使い果たしたような不愉快な心持ちになる。
しかし、「自らの学習のために、自分がこの境遇を選んだ」と思えば、たとえ辛くて苦しい境遇でも他人を羨ましく思う気持ちが和らぐのだということに気付された。

日本の書物をひもとくと、古くは万葉集の時代から、「日本は言霊の力によって幸せがもたらされる国」とされてきました。
(本書P.147より)

現代は昔よりも言葉が荒く汚くなってきたように思える。自分の発する言葉が他人に影響を及ぼすと考えコミュニケーションを取ることによって、自然と責任感が芽生え、人間関係にもだんだんと輝きが生まれるかもしれません。

現代の「ありがとう」は感謝の気持ちを伝えるために用いる言葉だが、古典では「ありがたし」と表記され、「めったにない。めずらしい。」という意味がある。
「めったにない」物事ばかりに感謝するのではなく、本書のタイトル通り、「なにがあっても」とりあえず感謝の気持ちを相手に伝えてみてはいかがでしょうか?