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『これからの「正義」の話をしよう』

  • 古刊

櫻庭凌也

『これからの「正義」の話をしよう』
(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
マイケル サンデル 著
Michael J. Sandel 原著
鬼澤忍 翻訳
出版社 早川書房
発売日 2011/11/25
言語 日本語
ISBN-10 4150503761
ISBN-13 978-4150503765

「正義」とは何か。この問いは単純だが、定義するのは不可能だろう。国や宗教などによっても正しいと言えることは異なる。

この本はそんな「正義」という単純かつ難解な事柄について考察している。著者はハーバード大学で人気講義「JUSTICE」を担当する教授である。

本書の大きなテーマは、自由と平等、社会と個人、利益と人権などをめぐる問題である。具体的な事例を挙げた後に思想面から見た考察と進んでいく。使われる用語は難しく読みにくい所がある。内容は豊富であり、著名な思想家も多く取り上げられている。

扱う問題は、複数の人を助けるために1人を殺すべきか、歴史的な観点から見て不平等を解決することは正しいか、同性婚を認めるべきかなどである。

本書は色々な考えを挙げているが、どれか一つの考えが正しいとは主張していない。考えるきっかけにはなる。

何が正しいかは答えようがない。ただし、一つの価値観だけを重視するのは間違いということだけは言える。1つの考えだけが正しいとすることは、それ以外は間違いだという「思い込み」を生むだろう。正月早々テロのような事があったが、容疑者は自分が正義と思っていたと思う。これでは正義も悪もあったものでは無い。勝手な「思い込み」を無くし、他の考えに耳を傾けることが本当の「正義」かもしれない。