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『かぐや姫の物語』

  • 古刊

神亜莉沙

『かぐや姫の物語』
原作:「竹取物語」 原案:高畑勲
脚本:高畑勲 ノベライズ:坂口理子

発行所 KADOKAWA
発行年 2013年 10月25日

2013年、11月に映画『かぐや姫の物語』が公開された。今回紹介させていただく角川文庫から出版された本書は、それをノベライズしたものである。

『かぐや姫』の内容は誰もがご存知のように、竹の中から生まれたかぐや姫が翁と嫗に育てられ、数々の求婚を断り、終いには月の使者に連れられ帰ってしまうというもの。しかし本書には、「お前が犯したこの罪を償わせるには、お前自身をかの地へと降ろすほかはない。」と記されている。つまり、かぐや姫は罪を犯したために人間の世界へやって来たのだというのだ。

本文を読みながら、対比構造にマーカーで線を引いてみた。
かの地(人間の世界)↔月の世界、都↔集落(着るものや、住み方も含む)などである。さらに深く見ていくと、都と集落は高貴と下賤の二通りに振り分けることができる。
人間の世界と月の世界は天上と↔地上なので、差異があることはやむを得ない。それに対し、都と集落は同じ地上でありながら、「身分の差」というものが生まれている。このことから、平安時代の華やかさの中にある暗い部分というものを垣間見たような気がするのは私だけであろうか。

さらに、本書には「わらべ歌」が載せられている。村の子供たちが陽気に歌う姿を想像しながら読み進めていくと、まるで歌声が遙か遠くから聴こえてきそうな気さえする。はたまた、お年を召した方であれば一昔前の幼少期や故郷を思い起こすかもしれない。

本書を読む前にまずは思う存分、映画を観ていただきたい。喜怒哀楽が鮮明に描かれている人物に注目し、読む際に思い浮かべることでより一層、独特な雰囲気というものを感じられるだろう。
ちなみにだが、私が最も好きな登場人物は女童。私のようにとても背が低いのだが、愛らしい顔と仕草が観る者にインパクトを残すことは間違いない。

満月の夜にこの物語を読めば、異世界に誘われているような不思議な感覚がするかもしれません!